最近では、年間30万人から40万人もの人が熱中症になると言われていて、決して他人事ではありません。
熱中症とは、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもってしまう状態を指します。
特に、子どもはこの体温調節機能が未発達であり、高齢者はその機能が低下しているため、熱中症になりやすいとされています。
熱中症の予防には暑さ対策や水分補給などがありますが、実はあまり知られていない「カラダの保水率」も注目したいポイントです。
2013年イギリスで発表された論文では、熱中症になりやすい人の特徴として「筋肉量が少ないこと」が挙げられています。
筋肉量と熱中症、いったいどのような関係があるのでしょうか。
実は、私たちのカラダを構成している筋肉と脂肪は、それぞれ保水率が異なります。
脂肪の保水率が約10〜40%であるのに対し、筋肉の保水率は約70%。
筋肉量が少ない人ほどカラダの保水率が低く、熱中症になる危険度が増してしまうのです。
カラダの保水率を高めてくれる筋肉を増やすためには、たんぱく質が必要です。
残念ながら、筋肉をつくる材料は体内にはありません。
そのため、9種類の必須アミノ酸を食事からしっかり摂取することが大切です。
必須アミノ酸のなかでも、筋肉にとってもっとも重要なアミノ酸は“ロイシン”です。
なぜならロイシンは筋肉合成の「スイッチ」であることが明らかになっているから。
ただ、ロイシンだけを摂取してもうまく働かないのがたんぱく質の難しいところ。
9種類の必須アミノ酸をまんべんなく摂取する必要があります。
各食材の必須アミノ酸含有バランスは、アミノ酸スコアリストでチェックしましょう。
スコアが高いほど含有バランスが良く、たんぱく質としての価値が高くなります。
例えば、アミノ酸スコア100点の食材は、牛乳、スキムミルク、卵、ヨーグルト、ツナ、鶏肉、牛肉、豚肉、かつお節、あじ、いわしです。
また、おからもアミノ酸スコアが91点と高値の食材です。
筋肉維持のために必要なたんぱく質量は、1日3食、毎食「片手手のひら一盛り」。
また、筋肉は大食らいですから、カロリーが不足するとすぐに分解され、肝臓内でブドウ糖に変えられてしまい、食事の代わりにエネルギーとして使われてしまいます。
必要なエネルギーをしっかり摂ることも筋肉量の維持・増加には欠かせない条件であることをぜひ覚えておいてください。
汗をかいた日に多く摂取したいのがカリウムです。
汗を大量にかいてカリウムが体外へ流れ出てしまうと、筋肉がパワーダウンし、全身を倦怠感が襲います。
カリウムは海藻や大豆製品、野菜や果物に多く含まれています。
筋肉をつくるたんぱく質と、筋肉の働きをよくするカリウムを組み合わせてカラダの保水率を高め、暑い夏もパワフルに楽しみましょう!